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誤字脱字など最終手直し2005.0310
quartz
*第二話・ 潮風の吹く街タルト・ルクプ 2*
数分後、ふたりは店の奥から出てきた。 リックは手に、古そうな縦長の箱を持っていた。 かなり大げさな身のこなしで、リックはその箱を、散らかるカウンターの上のものを押し退け、空(あ)いた一角に置いた。 主猫はその様子を見届け終えると、急に語り出した。 「かれこれ十年くらい前の事だ」 「やっぱり始まった」 リックがそう言って目を細めたのも気にせず、主猫は語りを続けた―― 「そう、十年ほど前。 猫たちの間で、"蒼爪の猫(あおづめのねこ)"と呼ばれていた猫がいた。 ヤツは強い者を見つけては、どんなやつだろうと構わずとことん戦いを挑んで倒す、ってな事を繰り返していた、命知らずの猫だった。 ……動きは素早く小柄だったが、凄い力を秘めていたらしい。 でもまともに見たやつは、ほとんどいねぇ。 見たとしても、みんなやられてしまったんだろう。 ヤツにはすごい賞金がかかっていた事もあった。 いろんな強い奴等が倒そうとした……でもヤツは倒れなかった。 そんな奴等のお陰か、どんどんヤツは強くなっていったそうだ。 ……当時の世界で、5本の指に入るだろうよ。 そのうち、あまりにも酷い死傷者が出るようになったもんだから、ヤツの賞金首って話は聞かなくなったなあ。 いや、もしかすると、あまりにも賞金が高くなってしまったからなのかもしれねぇ。 そんなヤツだったが、ある時を境に、突然、誰もヤツを見かけなくなったんだ。 あんなに知られてた猫だ、誰も見かけなくなったなんて、おかしな話だ。 きっと誰かが倒したんだろう……そう、噂になった。 噂が飛び交ったせいか、皆、ヤツの事を忘れかけていた。 ちょうどそんな時機だったな。 一匹の猫が、この店へとやって来たのは。 ほんとのところ、よくわからねぇが、その猫は店に入って来るなり、 『昔、この店でクローを盗んでしまった。 金と一緒に、この箱の中のクローも返したい』 そんな感じの事を言って、その猫は、お金の入った袋とこの細長い箱を、置いていった」 主猫はそう言い、ルーク達の目の前に置かれた"箱"に触れた。 「その猫はすぐに出ていった。 俺はちょうどその時、オヤジの代わりをして店にいただけだったからなぁ、盗まれたとかどうとか、よくはわからなかった。 とりあえず詳しく話を聞こうと、俺はその猫を追って直ぐさま店を飛び出た。 ……外へ出た時には、残念ながら、もうその猫の姿はなかった。 俺は、仕方ねぇな、とりあえず中を見てみよう、そう思ってその猫の置いていった箱を、開けたんだ」 主猫はそう言い、目の前の箱をゆっくりと開けた。 ルーク達はゴクリと息を呑んだ。 「あの時は、ほんとびっくりした。 箱を開けたら、コレだ」 主猫は箱から、蒼く輝くクローを取り出した。 「わぁ」 目も覚めるようなその色に、まず驚いた。 手入れの行き届いた、鋭い爪先、鈍く輝く右手用のクロー。 「まだ話は終わっちゃいないぞ。 ここをしっかり言っておかなきゃ、このクローについて全部知った事にはならないからな」 主猫はそう言い、語りを続けた。 「コレを見た時、俺はふと思った、"蒼爪の猫"ってやつを。 ヤツに詳しい友猫にコレを見せたら、案の定、ヤツのじゃないかって。 ……まぁ、本物かどうかは、ほんとのところは知らないが」 「すごいや!」 ルークは感嘆の声を上げた。 「な、すげぇーだろ!」 リックは蒼く輝くクローを、ルークにそっと持たせてくれた。 「綺麗な色、ですね」 リスベルは見取れたような目つきで、ルークの両手に握られた"蒼爪"をじーっと見ている。 「リスベルも持ってみなよ、思ったよりも軽いんだ」 そう言い、ルークは白い手に蒼爪を置いた。 リスベルはびっくりした顔つきで、蒼爪を手にとる。 「わっ……すごく軽い」 「少し蒼爪を傾けると、重みが出るんだぜ」 そう言って、リックは蒼爪を傾けてみせる。 どこか緊張した面持ちで、リスベルは手の上の蒼爪を見つめていた。 「オイオイ、話はまだ続くんだ」 そう声を上げ、主猫は興奮するルーク達の注目を浴びようとした。 けれど今のルーク達の注意を引くのは難しかった。 三匹の子猫はちっとも主猫の方を振り向かない。 リスベルは蒼爪をそっと――箱に戻そうとした、が、その時に何か見つけた。 箱の底に、何か文字が彫られている。 「これは、何でしょう?」 首を傾げたリスベルを見、リックが、 「そうそう、それそれ……おっさん、出番だぜ」 と意地悪く笑って主猫を見た。 「ごほん、説明しよう。 これは"猫語"……まあ、いろいろと種類はあるが、そのうちの何か"古代猫語"で書かれてあるんだ。 今使われているのは"現代語"だからな。 世界を見守り続ける白い竜イージスが、猫たちの言葉を統一させるために下さった言葉だ。 つまり、今俺たちが使っているのは"猫語"ではない」 主猫が自分の語りに酔いしれているのを、 「そんな説明はいいから、早く早く」 とリックは急かした。 「そうだな」 そう相槌をし、主猫は語りを続けた。 「"キャトー ノナ ジィン クゥー"と彫られてある。 今の言葉に直すと……"猫には九生ある"という意味だ。 まあ、これだけ言ってもわかりづらいだろう。 "猫はなかなか死なない生き物"と解釈すればいい。 ……意味ありげに思わないか? 何か、こう……強く刺激されるよな……心がよ」 「このおっさん知ったかぶりしてるんだぜ。 物知り自慢してるけど、教えてもらったんだから」 リックがこそりとルーク達にそう言っているところを――主猫は後ろからリックの首に腕を巻き、グーにした左手で頭をグリグリした。 「い、いてぇいてぇ!?」 リックが涙目で頭を撫でつけているのを、ルークとリスベルは笑った。 そんな中、主猫がぼそりと言った。 「坊主、コレ、持っていきな」 ……。一瞬の沈黙。 「えっ?」 ルークは意味を分かりかねて、目を瞬(またた)かせた。 主猫はそっと箱から蒼爪を取り出すと、ルークに差し出した。 ルークは主猫を見つめた。 「いいんですか? 大事な物じゃ」 「物ってのはな、使わなきゃダメなんだ。 特に、この、蒼爪はな。 この店の古くさい物置にあるより、コイツは、使われたいだろうからな」 主猫はそう言うと、ニヒッと笑った。 「ルーク、つけてみてはどうですか」 リスベルがそう言い、 「そうだね……うん」 ルークは右手に、蒼爪を――つけた。 「わぁっ」 つけると、みるみる蒼爪に模様が浮き上がった。 「色が鮮やかになったみたい。 それに、変わった模様が、いっぱい」 「こりゃたまげた、こんなもんが出たのは初めてだ……!?」 主猫は蒼爪からルークに目を移し、 「この蒼爪は、坊主に使われたいと思っているに違いない」 とブンブン縦に首を振った。 ルークはそっと、蒼爪を外した。 外すと、蒼爪の色は少し暗い色に戻り、不思議な模様もなくなった。 「どうだ、いいだろ」 そう言った主猫から、ルークはそっと顔を逸らし、 「頂きたいのは山々ですが、俺、こんな高価な物を買うくらい、お金、持ってません。 違うのにします……ごめんなさい」 蒼爪を箱へ戻そうとした。 それを見た主猫は、 「オイオイ、"持っていきな"って言っただろ。 ……やるって事だよ、"タダ"でな」 と優しい笑顔をつくった。 その言葉を聞き、先に驚いたのはルークではなく、 「おっさん! いつからそんなに太っ腹になったんだ!?」 と叫んだリックだった。 「主猫、ありがとうございますっ……!」 嬉しくて飛び上がりそうなのを抑え、ルークは深々と頭を下げた。 「ははは……やめてくれやめてくれ、そんなに喜ばれたら顔がにやけちまう」 主猫はそう言い、耳を撫でつけた。 「俺も矢、頂いていこーっ」 どさくさに紛れ、リックはこっそり、矢の束を持っていこうとしていた。 「その矢は1束、4000キャットだぞ」 「……意地悪」 主猫はニヤっとした。 その後、ルーク達は武器屋で、話に花を咲かせた。 すっかり打ち解け、話も自然と盛り上がる。 ……そんな中、急にリックがルークに耳打ちした。 「ところでさ、リスベルって、女の子なんだろ?」 「うーん、そうなのかなあ……わからないや。 実は俺も知らないんだ、直接、リスベルに聞いてみる?」 話の途中、リックが何気なく尋ねる。 「なぁ、リスベル。 お前って、女の子、なんだよな?」 リスベルの反応は、 「いいえ」 だった。 「えっ、お、雄猫だったのかっ!?」 絶叫するようにリックが再び問いただす。 「……いいえ」 リスベルの返事はさっきと同じだった。 その場に妙な空気が流れた。 何とも言えず首を傾げるリックの代わりに、ルークが聞いた。 「リスベルは、どっちでもないの?」 「私は……リスベルです」 少しも戸惑うことのない顔で、リスベルはニコリと微笑んだ。 ルークとリックは揃って、小さく言い合った。 「聞かなかった事にしよう」 それから時間も経ち、タルトの街は夕焼け色に染まっていった。 「そろそろ暗くなるんじゃないか?」 主猫がそう言い、ルーク達も窓から外を見た。 ――夕日がもう落ちそうだ。 月がだんだん、姿を露わにしようとしている。 「時間が早く感じますね」 リスベルがそう言い、 「……そうだな」 とリックも軽く頷いた。 「あぁっ!?」 突然リックが椅子から飛び上がった。 その勢いでリックの椅子は倒れ、隣に座っていたリスベルは驚きのあまり床に転がった。 「わ、忘れるところだった、こうしちゃいられねぇ……俺、行くわ」 そう叫ぶと、リックは店を出ていこうとした。 「リック! 行ってしまうんですか」 起き上がりながらリスベルが、戸口の前のリックを呼び止めた。 「言っただろ、俺は"仕事で来た"って。 じゃあな……あ、おじさん、矢を一束もらっていくよ」 リックはいろんな矢の入ったカゴから一束矢を取った。 「リック引きで3000キャットだ」 「ありがと、おじさん……じゃあな、ルークにリスベル。 またどっかで、遇えたらいいな」 お金を戸口のところに置くと、リックは軽く手を振り――慌ただしく店を出ていった。 「リック、行っちゃった。 ……"リック引き"って本当だったんだ」 ルークがそうぼそりと言ったのを、 「ああ、リック引きなぁ……皆、あいつには世話になってるからな。 このタルトの街は、あいつの第二の故郷だ。 あいつを知らんやつなんて、この街にそうはいないさ」 と主猫は答えながら、辺りを片づけだした。 「そろそろ、私たちも行かないといけませんね、ルーク」 「そうだね……でも今日はもう暗いし、宿屋に泊まろう」 「いつでも空いている宿屋がディーンの酒場の近くにあるぞ」 主猫がそう助言をくれた。 「主猫、蒼爪、ありがとうございました……大切にします」 ルークは店を出る前に、主猫に深々と礼をした。 「なーに、よく使ってやってくれな。 大切にし過ぎるんじゃねーぞ、立派に使いこなすんだぜ」 主猫はそう言うと、にーっと笑い、ルークとリスベルを送り出してくれた。 ……見えなくなるまで笑顔で手を振っている主猫に手を振り返しながら、ルークは、主猫の笑い方とリックの笑い方がすごく似ているのを感じた。 その時にふと、主猫が"このタルトの街は、あいつの第二の故郷だ"と言った言葉が浮かび、ルークは我知らず微笑んでいた。 二匹は武器屋を後にし、来た道を逆に、リックに案内された道を逆に歩いた。 そのうち、ディーンの酒場を見つけ――その斜め向かいの宿屋へ向かった。 −宿屋− 「部屋は空いていますよ」 ルーク達はすんなりと宿の部屋へと着いた。 着くと疲れていたせいか、2匹ともすぐベッドに転がり込んだ。 「旅の準備、明日でもいっか。 今日はもう、疲れちゃったし……」 ルークは眠たい目を擦った。 「ええ」 リスベルは静かにそう答えた。 ルークは脱ぎ捨てた旅服をゴソゴソとし――何か入ってそうな小さな袋を取り出した。 それを手に持つと、ベッドに寝転んだ。 小さなランプの明かりだけの、薄闇の中。 手探りでルークは小さな袋から、片手ほどの大きさの石を取り出す。 ――透き通った、燃えるように赤い色をした石。 それは、アモンと最後に会った時の別れ際、貰ったものだった。 「アモンは今頃、どこにいるんだろう」 ルークはしばらくの間、赤い石を見つめていたが――そのうち袋に戻し、旅服に押し込んだ。 「……リスベルもう寝てる? ランプ、消しちゃうよ」 フゥと吹いて、ランプの火を吹き消す。 欠伸をすると、ものの数分で、ルークは眠りについた。 ルークに背を向け、横になっていたリスベルは、目を小さくパチパチさせ、何か思い詰めた様子で、目を閉じた。 次の朝。 ベッドの上の白いブランケットがガサゴソと動いたかと思うと、バサッと翻った。 「ふにゃあぁ……よく寝たぁ」 起き上がったルークは大きく伸びをすると、隣のベッドの方を向いた。 そこには、ベッドに腰掛けこちらを見ているリスベル。 「おはようルーク」 リスベルはもうすでに起きていたようだ。 「まだ早いのに、もう起きてたんだ……あれっ?」 ルークは寝ぼけ眼を擦りながら、 「ローブ、替えた?」 と目をパチクリさせた。 昨日まで着ていた黒いローブとは、違うローブを着ている。 「どうです……似合います?」 リスベルはそう言い、クルッとまわってみせた。 不思議な感じのする、白いローブ。 ところどころ銀糸や金糸の刺繍がされ、落ち着いた色合いの留め金の装飾品がついている。 「うん、よく似合ってる」 ルークがそう言うと、リスベルはニコリと微笑んだ。 朝食を外ですませることにした二匹は、旅支度を始めた。 「ルーク、歯磨きセット忘れていますよ!」 「あぁっ! ありがと、リスベル」 ルークはよいしょと荷物に忘れ物をしまう。 「じゃあ、行こうか」 「はいっ」 何だか早く出発したそうなリスベルを気遣い、二匹は準備が整うとすぐ宿屋を出た。 朝食の“串とかげ”を食べ歩きしながら、竜石の情報について聞けそうな店や場所を点々と回った。 案の定、良い情報どころか――竜石のことを知る猫さえいなかった。 旅猫情報誌を気休めに読み探しながら、 「ダメだったね、でもまだ出だしだもん。 次にはきっと良い情報があるよ」 とルークはリスベルを励ました。 「そうですね……ここにはいないみたいです。 竜石の気配のようなものを感じたのですが」 そう言って、リスベルは目の前のショーウィンドウから見える通りに視線を流した。 再び二匹は路地を歩きだした。 「あ、リスベル、ちょっと寄るところがあるんだけど」 そう言ったルークに、リスベルはいいですよと頷いた。 周りを歩く猫たちの足並みと同じように、二匹は大通りの方へと向かって歩いた。 「大抵は、街の中央にあるんだけどな」 しばらくすると、前方に、濃い緑ぶちの変わった屋根をした、大きな建物が見えてきた。 ルークは足取り良くその建物に近づいた。 「ここは、何なんですか?」 リスベルが不思議そうに尋ねた。 「ここはね、"ウォーノクス"っていうところ。 昔から、 街の安全や秩序を守るために警備猫やポリスキャットを送り出したり――他にも、悪い猫を取り締まったりしてるところなんだ」 「そんなところに、なぜルークは?」 「ウォーノクスはそれ以外にも、旅猫(クォーツ)たちに関わる事の仕事もしてるんだ。 数十年前から、旅猫になる猫が増えてきて……金銭面に関わる事がいろいろと問題になったんだ。 うーん、あんまり難しい事はわからないけど、今俺がしようとしてるのは――コレをお金に換えてもらおうと思って」 ルークは旅服から、淡い色の布袋を1つ取り出して見せた。 小首傾げるリスベルに、 「ま、建物に入ればわかるよ」 と言い、ルークはウォーノクスへと入っていった。 −ウォーノクス− 建物に入ると、4つの窓付き扉があった。 そのうちの1つ"仕事"と書かれた扉に、ルークは近づく。 他の扉の窓を覗いていたリスベルに、 「こっちだよ」 そう言って入る扉を指さすと、ルークは目の前の扉を開けた。 −仕事扉の向こう側− そこには忙(せわ)しく動く、たくさんの猫たちがいた。 いくつも設けられた受付は、それぞれ異なる文字の書かれた案内プレートが頭上から吊されている。 右の方にある受付は、旅猫(クォーツ)たちが列を作って並んでいた。 そんな猫たちの様子を横目に見つつ、ルークは左端にある受付へと向かった。 年季の入ったカウンターに近づくと、 「コレ、お願いします」 とルークは言った。 ……服から、さっきリスベルに見せた淡い色の布袋を――全部で24袋、手際よくカウンターへ置いていく。 リスベルはそれらに追い目をしながら呟いた。 「たくさんあるんですね」 「うん……淡い色の袋は、布の色が何種類もあるんだ」 袋を品定めする受付猫に、リスベルは問い掛けた。 「この袋の中には何が入っているんですか?」 「中には、主に"薬になる材料"が入っています。 その他には、調味料や香辛料、それに妙薬なんかですね。 全て乾燥させてあるので、長期の保存が利くんです」 「そうなんですか……あ、教えて下さってありがとうございます」 リスベルがそう言うと、受付猫はどういたしましてと微笑んだ。 「これと、これと……これを頂きます」 中身を確認しながら、受付猫はピンク色の袋を4つ、緑と黄色と青を2つずつの計10袋、四角い入れ物に入れた。 ……奥から緑の小さな帽子をちょこんと被った猫がやって来た。 胸に、三つの受け皿を持った白の天秤バッジがついている。 緑帽子のその猫は、変わった機具を数種類取り出して、重りと小袋を天秤にのせたり、袋の中身を注いだりし始めた。 時折、手元の用紙を見、書き込んでいる。 素早くされる作業の様子は、思わず目を疑うほどだ。 「43300キャット、お渡ししますね」 受付猫はそう言うと、イージス札4枚と、1000キャットコイン3枚、100キャットコイン3枚をルークに手渡した。 ルークがお金や残った布袋をしまっていると、 「袋を預かりますか?」 と受付猫は尋ねてくる。 「えーっと、1000キャット袋2つと500キャット袋1つ。 後100キャットの袋3つお願いします」 そう言うと、受付猫は後ろを向き、天井まで届きそうな収納箱いっぱいの棚から、ピンクの袋を2つ、茶の袋1つ、赤の袋3つを取り出してきた。 「全部で6袋、2800キャットです」 ルークはお金を支払うと、カウンターに置かれた6つの袋をしまった。 「ありがとう」 受付猫にお礼を言い、ルーク達は次の猫に場所を譲った。 二匹はウォーノクスを後にした ルークは荷物を確かめながら、リスベルと並んで歩く。 「袋の色は何だったんですか? また、ルークは同じ色の袋を預かっていましたが」 「うん……袋の色はね、金額に関係するんだ。 ピンクと紫、茶、緑、赤、青と黄色って種類があるんだけど、それぞれ言った順に、引き取る時は1000、500、300、100、10キャットなんだ。 でも、ウォーノクスで引き取ってもらう時は、それらに1つ0(ゼロ)がつく。 ……袋の色が同じでも、中に入ってる物は違うよ。 かなり割合のいい仕事だから、ほとんどの旅猫が利用してるんだ」 ルークは一呼吸おいた。 「でもね、いろいろと大変なんだ。 必要じゃなかったら引き取ってもらえないし……。 それに値段が高くなるに連れ、買い取ってもらえる時高く交換できるけど、重たいんだよ。 すぐ近くの街で交換できたらいいんだけどさ」 「そうなんですか」 「でもね、普通の袋とは違う、金の袋っていうのがどこかにあるらしいんだ。 引き取る時100000キャットも支払わなきゃならないらしいけど、交換したら……1000000キャットにもなるんだよ! しかも軽くて持ち運びも楽なんだってさ! ……でも、あったとしても引き取り賃が払えないけどね」 ははは、とルークは苦笑した。 二匹はそれから、足りなくなっていたドライフードなどを買い揃え、すぐに次の街へ向けて歩きだした。 「ルーク、置いていきますよ」 急にリスベルは駆けだした。 「そんなに走っちゃダメだよ」 ルークは慌てて……リスベルを引き止めた。 「そんなんじゃ旅は保たないよ、自分のペースで歩くんだ。 でも、急いでる時は早足でね」 ふふと笑うと、ルークは早足で歩きだした。 「あ、待ってくださいルーク!」 リスベルはその後を走って追いかけてきた。 快晴の空の太陽は、気持ちが良いくらいに朝の光を地上に注いでいた。 ルーク達が行く先には、何か言いたげな曇り空……。 |
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(この話の登場猫物紹介も兼ねてます)